2025-08-07
JOIN THE SEA ISLAND CLUB!【海島綿Webマガジン第5号】
今年の夏も暑い日が続きますが、皆様体調は大丈夫ですか?
コットンは(亜)熱帯の植物なので、取り扱う私も夏が大好き!と言いたいところですが、暑さは苦手です。とはいえコットンの成長にとって一番大事なのは熱の蓄積。暑さあってこその海島綿です。
さて、今月の海島綿情報はようやくジャマイカ産海島綿が届いたというニュースからどうぞ!
今月のトピックス
✅【ジャマイカからの便り】2025年産・海島綿、ついに到着!
7月10日、2024/5年シーズンのジャマイカ産シーアイランドコットン(海島綿)が、無事日本に到着しました。名古屋港に入港後、すぐに紡績工場様へとお届けし、現在は様々な番手の海島綿糸に加工していただいている最中です。
お盆明けから順次糸が上がり始める予定ですので、皆様へのご案内まで、あとしばらくお時間をいただければと思います。紡績様からのレポートによると昨年よりもトラッシュが少なく品質も安定しているとのことです。
3月に現地に赴きはじけたワタを一緒に収穫し、また収穫後のシードコットンを乾燥させながらごみを取り除く作業が徹底されている様子を見てきた身としては、やはり品質の裏側には地道な努力の積み重ねがあるのだという思いを強くしています。
今年は「海の大冒険」を経て
また今年は、パナマ運河の輸送制限の影響があるのか例年の中米経由ではなく、東回りして喜望峰(アフリカ南端)を通り、インド洋を突っ切りマラッカ海峡を経由するという長い航路で日本に到着しました。途中で海賊に奪われないかドキドキの、まさに海の大冒険を経ての入荷です。
収穫量は少なめ
残念ながら今シーズンは播種後に雨が降らなくなり、収穫期に雨が多くなるといった気候の影響もあり、全体の収穫量が例年よりも大幅にダウンとなっております。多くの番手で数量に不足が生じる見込みです。
それでも、手にした時のしっとりとした風合い、生地にした際の繊細な光沢、そして何より肌に触れたときのやさしさには、改めて「これぞ海島綿」と感じていただけるはずです。
✅【ご案内】海島綿「出張セミナー」受付中です
今年5月、数年ぶりに開催した「海島綿セミナー」は、おかげさまで多くの皆様にご参加いただき、大変好評のうちに幕を閉じました。
ご参加いただいた方からは、「とてもわかりやすかった」といった嬉しいお声をいただき、海島綿使用の新たな企画を立ち上げていただくケースも多数ございました。
その一方で、「当日は予定が合わず行けなかった」「地方なので参加が難しかった」といった声も頂戴しました。そこで「来られないなら行ってしまおう!」と今回新たに海島綿の「出張セミナー」を受付けることにいたしました!
ご希望の場所・スタイルに合わせて開催いたします
出張セミナーは、皆様の会社やイベント会場など、ご希望の場所まで弊社から伺い、直接お話しさせていただく形式です。例えば以下のような機会でご活用ください。
• 産地の組合様が主催するイベント
→ 糸や織物づくりに携わる方々への素材理解を深める機会として
• ブランド様の企画・営業・MDチーム向けブリーフィング
→ 商品開発前に素材背景を深く学ぶ場として
• 百貨店・専門店様の販売員研修
→ 接客時の説明力強化や、お客様との信頼関係構築のために
参加人数や会場条件は柔軟に対応します
最低開催人数は設けておりません。大人数はもちろんのこと、少人数のチーム単位でも対応いたします。形式ばったセミナーというよりも、「海島綿に詳しい人が社内に来て、これまで疑問だったことを直接気軽に聞ける機会」とお考えいただければと思います。
海島綿の魅力を、あなたの現場へ
高級綿素材の中でも「幻の綿」と呼ばれる海島綿。その魅力や価値を知ることで、商品企画や販売、接客の視点が大きく変わるかもしれません。
興味のある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
開催希望日やご要望内容などを伺いながら、最適な形でご提案させていただきます。
✅海島綿豆知識 #4
綿毛の正体とは?
皆さまがよく目にする、あのふわふわとした真っ白な「コットン」。
お店で見かける化粧用コットンや、糸になる前の綿の束を見て、「これは植物から採れたもの」となんとなく知っていても、実際にどのように育つのかご存じの方は意外と少ないのではないでしょうか。
今回は、そんな綿毛の「正体」について、少し深掘りしてみたいと思います。
「収穫間際の綿花畑」と聞くと、多くの方が想像するのは——
どこまでも続く畑一面に、雪が降り積もったように真っ白な“綿花”が咲いている光景ではないでしょうか。でも、実はあの白いふわふわ、花ではなく“実”なのです。
そう、あれは綿花(わたのはな)ではなく綿実(めんじつ)。英語では「Cotton boll(コットンボール)」と呼ばれ、花が咲いたあとに実る果実の一種です。
綿の木にはれっきとした花があり、その花は短い期間だけ開花したのち、やがてしぼみ、代わって果実が膨らんでいきます。この果実の中に、のちに私たちが使う「綿毛」が育っていくのです。
綿毛は「1本1細胞」の天然繊維
綿毛の成り立ちも実にユニークです。
コットンボールの中には数十個の種の素が入っており、ボールの成長とともに種も成熟していく中でその種の表面から、細胞が一つひとつ飛び出すようにして繊維が伸びています。
驚くべきことに、この綿毛1本1本が「ひとつの細胞」でできているということ。天然繊維の中でも、これほど均質で長い単一細胞からなる素材は非常に珍しく、これがコットンが糸として加工しやすく、肌あたりが滑らかな理由でもあります。
海島綿は、ゆっくり時間をかけて育つ
では、あの繊維がどれほどの時間をかけて成長するのかというと——
綿毛がしっかりと伸びきるまでには、おおよそ約1か月の期間が必要とされています。これは気温や日照条件によっても多少前後しますが、基本的にはじっくりと時間をかけて「繊維」が種の周りに育っていくのです。
特に「海島綿(シーアイランドコットン)」のような超長繊維綿(Extra Long Staple cotton)は、繊維が長い分、成長期間も長くなる傾向があります。例えば、アメリカで栽培されるシーアイランドコットンは、同じ地域で一般的に栽培されているピマ種(スーピマコットン)よりも、1〜2週間ほど長く畑に置かれると言われています。
自然が織りなす「時間」と「品質」
繊維一本がひとつの細胞。その細胞が、日差しと水と大地の恵みを受けながら、一か月以上かけてゆっくりと伸びていく——。
このように、私たちが手にするシーアイランドコットンの背景には、植物の緻密なメカニズムと長い成育時間が存在しています。だからこそ、海島綿は「贅沢な天然素材」なのです。
あとがき
お盆明けに次のシーズンのお話をしにジャマイカへ行ってまいります。
真夏のジャマイカは暑いんジャマイカ?と調べてみると、意外にも平均気温は30度前後だそうです。それなりに蒸すようですが、この日本の夏から行くと、存外過ごしやすかったりするかもしれません。何か来月号でお知らせできるような現地ニュースがあればいいですけどね!
はたして今回の出張では普段からラジオ講座で英語の勉強をしている効果が発揮されるのでしょうか?
はたまた入国審査でいつものように「コットン」すら聞き取ってもらえず悔しい思いをするのでしょうか?別室に連れていかれなければいいですが。 (ITO)