シーアイランドコットン/海島綿とは
「繊維の宝石」と称されるシーアイランドコットンは、そのしなやかな肌触りがゆえに500年という長い時を超えて多くの人々に愛され続ける綿の最高級品種です。全世界の綿の生産量の数十万分の一しか収穫できないため「幻のコットン」とも言われ、現在はアメリカとジャマイカの2か国でしか栽培されていません。
※「海島綿」はシーアイランドコットンの日本語訳です

-
シーアイランドコットンの誕生
1492年、すなわち今から500年余り前のコロンブスがカリブ海に到達する前から、西印度諸島では長繊維の綿(バルバデンセ種)が栽培されていました。これが現在のシーアイランドコットンの祖先です。そのルーツまで含めると、栽培地域は西印度諸島から南米大陸までの広範囲にわたりました。

-
当時より主要な綿花の供給国であった米国がこの素晴らしい綿花に着目し東海岸地帯で栽培を試みました。しかし、熱帯性気候のカリブと違って冬のある米国では多年草*であるこの綿花は育たないため品種改良がおこなわれました。
* 生育期間が2年以上にわたる植物の総称

-
こうして冬が来る前に収穫を終えることができるようになったこの綿花はサウスカロナイナからジョージア、フロリダ半島のセントジョーンズ河口の沿岸で大々的に栽培され、栽培の中心地であったジョージア州のシーアイランド地方の名をとり、シーアイランドコットンと命名されました。
シーアイランドコットンの誕生です。

-
世界を魅了した米国産シーアイランドコットン
当時、米国ではメキシコから渡来したアプランド綿が綿花生産の大勢を占めていましたが、1788年に26トン余りのシーアイランドコットンが英国に輸出されると、人々はその品質に魅了され爆発的な人気を博しました。

-
1830年には5,500トン、そして生産の最盛期(1911年)には27,000tが輸出され、以後1920年代前半まで米国のシーアイランドコットンが世界を席巻しました。
※参考文献 1907年刊行 米国農務省資料

-
米国産から西印度諸島産へ
しかし1918年、あれほど隆盛を誇った米国におけるシーアイランドコットン産業はボール・ウィーブルという害虫によって壊滅的な被害を受けました。また、当時最盛期を迎えていた鉄道建設に多くの労働力を奪われ、ひときわ手間のかかるシーアイランドコットンの栽培は衰退しました。1920年ごろには米国での高級綿花栽培は米国農務省の主導で害虫に耐性があり収穫が楽なアメリカン・エジプシャン種に変わり、米国でのシーアイランドコットンの商業栽培は1922年にいったん途絶えます。

-
一方、西印度諸島のバルバデンセ種の栽培は1835年ごろから急速に減少し、栽培を断念する地域が急増しました。そこで英国政府とBCGA(英国綿花栽培協会)が生産復興に努め、1904年に米国から最高品質の種子を導入し、当時の英領の島々6島で栽培を始めたものの、その生産量はピークでも年間200t程度しかなく「幻のコットン」と呼ばれるようになりました。


-
WISICAの設立と日本へ
一方で1932年に英国政府の主導により、西印度諸島産シーアイランドコットンのプロモーションと栽培管理をおこなう西印度諸島海島綿協会(WISICA)が設立されました。
西印度諸島産のシーアイランドコットンは英領の島々で栽培されていたため、英国以外の国へ原綿が輸出されることはありませんでした。しかしその製品は日本にも「舶来品」として入ってきており、これらの製品に魅了された人々の間でこの素材を使い紡績からものづくりをしてみたいという要望が高まってきました。

-
そのような有志の働きかけにより1969年に試験的に原綿が日本にもたらされることになり、1975年のエリザベス女王ご来日の際に正式に英国以外の国としてはじめて輸入が許可されました。
同年に日本が正式に西印度諸島海島綿協会(WISICA)のメンバーになったことから、翌1976年に西印度諸島海島綿協会 日本支部が発足しました。それから2000年頃まで英国に代わって日本が独占的に西印度諸島産海島綿の原綿の輸入を行うことになります。

-
2000年代に入るとシーアイランドコットンを栽培する島はそれまでの英領6島(バルバドス・アンチグア・セントキッツ・ネービス・セントビンセント・モンセラット)から4島(バルバドス・アンチグア・ネービス・ジャマイカ)に減少しました。更なる減少を危惧した日本の協会はカリブ海に面した中米のベリーズに直営試験農場を設立し、種子の育成と品質の向上を目指しました。
海島綿協会HP

-
100年の時を超え米国産シーアイランドコットンが復活
一方で私たちは試験農場で育種された種子(モンセラット島のMSI種)を使用し2006年から米国テキサス州で試験栽培を繰り返してきました。2014年にようやくシーアイランドコットン種としての栽培に成功し、2年後の2016年にアメリカン・シーアランドコットンの名のもとに100年ぶりに米国産シーアイランドコットンの商業栽培が復活しました。

-
さらに試験農場では英国王室用としてセントビンセント島で極僅かに栽培されていた幻の品種(V-135種)の育種にも成功したのち、2018年にその役目を終えました。

-
シーアイランドコットンの今
西印度諸島産の栽培国は人員不足と栽培コストの大幅な上昇により4ヵ国からさらに減少し、現在は人口が多く農地も豊富なジャマイカ1ヵ国に集約されました。年間の生産量は20t未満ですが、今でもジャマイカのシーアイランドコットンはその品質の高さから人々を魅了し続けています。

-
一方で米国産シーアイランドコットンは最新の栽培技術を駆使して高品質かつ安定的に生産されています。

-
ジャマイカが栽培を継続し、米国では途絶えていた歴史が再び動きだしたことにより、この先もシーアイランドコットンは「綿花の宝石」であり続けます。

-
あらゆるスペックに優れる、コットンの最高峰
一般的にコットンの品質を決めるのは有効繊維長、細さ、強度、油脂分率などです。
シーアイランドコットンは各データにおいてトップクラスの水準であり、かつそれらのバランスが整っているのが特徴です。そして油脂分も他の高級綿より特出しているため、繊維の光沢としなやかさにおいて世界最高峰といえます。

-
その優れた特徴を表すためによく挙げられる表現に「シルクのような光沢」「カシミアのような肌触り」というものがありますが、この特徴は素材本来の質感から生まれるものであるため、繰り返しの使用を経ても長く保たれます。

-
保障・透明性
全世界の超長綿(高級綿)の0.01%という希少な綿花だからこそ、模倣品や産地偽装品に対する対策を万全にしています。
トレーサビリティが重要視されつつある中で、一般に流通している綿は産出国、産出地域まではわかっても農家まで特定するのは難しいですが、シーアイランドコットンは綿花市場には流通せず全て私たちと契約農家との間で直接取引をしているため100%のトレーサビリティが確保されています。
従って毎年の生産量および出荷地域まですべて特定できます。米国産は全生産量の100%、西印度諸島産は70%前後を日本が輸入しています。また、最終製品にはシリアルナンバーが印字されたホログラムがつけられ透明性が保証されています。

-
原料から糸へ
私たちが各農家から購入した原綿は日本に輸入され、最新設備を擁する国内の協力紡績工場の専用ラインにおいて紡績されています。

-
紡績工場で使われる電力の一部はCO2フリーです。シーアイランドコットンの糸は再生可能エネルギーを使用した地産地消の電力で環境に配慮して生産されています。原綿の栽培から紡績を経て糸として出荷されるまで、100%の透明性をもってお届けいたします。

