2023.01.18
日本に到着したシーアイランドコットン
これまでのコラムで、カリブとアメリカのそれぞれの産地でどのような人たちがどのようにシーアイランドコットンを栽培しているのかは、何となくお分かりいただけたかと思います。
産地において収穫されたコットンは種を取りのぞかれ、残ったワタは「ベール」と呼ばれる輸送に適した形状に圧縮されます。これらのベールはコンテナに積み込まれて船で日本へと向かいます。
船はカリブ海からパナマ運河を通り、太平洋を横断した後にアジアの主要港を経由して名古屋港にやってきます。いちどだけ東回りで地中海、スエズ運河を通ってやってきたこともありましたが、あくまでも例外です。
私たちは名古屋港の倉庫に原綿を預かってもらい、ここから必要に応じ紡績工場に送ってもらっています。
今回は、昨年末にジャマイカから届いた原綿の検量の様子を見せていただくために、倉庫会社の名港海運さんにお邪魔してきました。
現場となる名港海運さんの倉庫は、名古屋駅から電車で20分ほどの埠頭にあります。受付で貸し出されたヘルメットをかぶり、原綿が貯蔵されている2階へ上るとスタッフの方々は既に準備をしていただいていて、整然と並べられた私たちのベールと、秤(はかり)、フォークリフト2台が待ち構えていました。
秤を挟んで一方からフォークリフトでベールを一つずつ秤に載せ、検量担当の方が手で錘(おもり)を調節して重量を調べ表に記入、そしてもう一台のフォークリフトが計り終わったベールを反対側からつかみ、貯蔵場所に運びます。
その一連のスピードがとにかく速い!それは即ち2台のフォークリフトを操る運転手さんの技量が高いということですが、とにかく器用にハンドルを操ります。社長は「ドリフトしていた!」と興奮気味に言っていました。
もちろん私は「あのフォークリフトは後輪で操舵されているんですよ」と社長に指摘するようなヘマはおかしません。
そんなわけで今回届いた32俵の検量は文字通りあっという間に終わりました。
検量の結果は、現地から送られてきた重量表の数字よりもショート(足りない)していました。綿の水分は環境に合わせて変化しますので、産地で計った重量とは食い違うのが普通です。たまに増えることもありますが、大抵はショートです。。。
ちなみにアメリカ産のシーアイランドコットンは現地から送られてくる重量表の重さをそのまま使用していますが、カリブ産に関しては、紡績さんとやり取りする際には日本で計りなおした重量を使用しています。
倉庫内には我々のシーアイランドコットンだけでなく、世界中から届いたコットンが貯蔵されていました。お話によると、このように1ベール毎に重量を計ることは少なくなっており、計ったとしても使うのはデジタル計、このように手動の秤を使うことは珍しいそうです。シーアイランドコットンは一度に送られてくる数量も少ないため、昔ながらのやり方で作業は行われています。
南米、地中海沿岸、アフリカ、オーストラリアと様々な産地のコットンが並んでいます。それだけに到着時の状態も過去には色々なケースがあったようです。異物が入って紡績さんで問題になることはどんなワタでもあるのですが、コンテナーを開けた瞬間に分かる異常というのもあり、驚くことに火が付いたコットンがやってきたこともあったとか。現地でたばこの吸い殻でも一緒にプレスしてしまったのでしょうか。
今回届いた原綿は、火はもちろん汚れや濡れといったものは見られず、綺麗なものでした。
近日中に紡績さんへ送られ、春先には糸となってお客様のところに届けられる予定です。
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