海島綿 SEA ISLAND COTTON

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JOIN THE SEA ISLAND CLUB!【海島綿Webマガジン第16号】

2026年も半年がたち、海島綿プロジェクトも新たな期に入りました。
ジャマイカからの綿も到着し、これから紡績の計画を立ててまいります。

さて、普段から弊社では海島綿に関する情報をリサーチしていますが、今月はそんな中見つけたこぼれ話的なものをお届けします。

今月のトピックス

✅銅像になったゾウムシ

アメリカのアラバマ州エンタープライズという小さな町に、少し変わったモニュメントがあります。

台座の上に立つ女神さまが頭上に掲げるのは、なぜか『害虫』です。

 

 

その名もBoll Weevil(ワタミゾウムシ)!

 

2枚とも© Michael Rivera / CC BY-SA 4.0(出典:Wikimedia Commons)

体長わずか6ミリほどの甲虫が、なぜ銅像になったのか。

そこに海島綿ファンの方ならご存じのストーリーが絡みます。

 

ワタミゾウムシは1900年代初頭からアメリカ南部の綿花畑を席巻しはじめました。メキシコから北上してきたこの虫は、綿花のつぼみや実に卵を産み付け、内側から食い荒らします。当時は殺虫剤も効かなかったようで、アラバマの綿花農業は壊滅的な打撃を受けました。

 

同じく取り返しのつかない損失を被ったのが東海岸地帯におけるアメリカン・シーアイランドコットンです。200年以上にわたり世界の紡績工場が特別視してきた繊維。最高峰の綿が、たった数年で姿を消しました。

 

東海岸ではその後シーアイランドコットンのかわりに害虫に強かったエジプシャン種が導入されましたが、アラバマでは綿花を失った農家たちは、やむなく落花生やトウモロコシに転換しました。ところが、多角化したことで皮肉にも農業は安定し、町は以前より豊かになったそうです。1919年、町はその「災い転じて福となす」の象徴として、ワタミゾウムシの像を建てました。「われわれに多様化を強いてくれた」という、ちょっと皮肉めいた感謝の気持ちが込められていたのでしょう。

✅海島綿豆知識 #14 綿花と戦争

 

何やら穏やかでないタイトルですね。綿花といえば、柔らかくふわふわした心地よいイメージ。でもそんな綿花の「ある部分」が軍事利用されているということをご存じでしたか?

 

コットンボールに含まれる綿毛は種から無数に生えているのですが、その長い繊維を取り除いたあとも、種の表面には短くて細かい産毛のような繊維が残ります。これが「コットンリンター(cotton linter)」です。

 

© Thamizhpparithi Maari / CC BY-SA 3.0(出典:Wikimedia Commons)

リンターはほぼ純粋なセルロース(植物の細胞壁を構成する多糖類)でできており、この一見使い道のないようなセルロースが、意外な用途へと化学者たちの目を引くことになりました。

 

1845年、スイスの化学者のシェーンバインという方が自宅の台所で実験中、硝酸と硫酸をこぼしてしまいました。とっさに近くにあった「木綿」のエプロンで拭き取り、暖炉のそばで乾かしていたところ──エプロンは煙も出さずに一瞬で消え去ったというのです。

 

これが「ガンコットン(gun cotton/硝化綿)」の発見でした。

 

セルロースが硝酸で処理されると、「ニトロセルロース」が生まれます。この物質は黒色火薬と違って燃焼時にほとんど煙が出ません。そのため19世紀末に安定生産できるようになると、ススで武器や人の手を汚さない「無煙火薬」として、コットンリンターが兵器生産に大々的に使われるようになました。最近のニュースでもウクライナ防衛に必要な弾薬のために欧州がコットンリンターの手当てに苦労しているという話もありました。

 

ところで20世紀初頭までアメリカで大々的に栽培されていた海島綿もやはり軍事利用されていたのかどうか気になりませんか?

 

実はすべての綿花にリンターがあるわけではありません。米綿に代表されるアップランドコットンの種子は、長い繊維を取り除いたあとも表面にリンターがびっしり残ります。ところが海島綿にはリンターが無く種子の表面が黒くつるりとしており、そのため「ブラックシード」と呼ばれることもあります。

 

 

シーズン後のシーアイランドコットンの種にどのような運命が待ち構えているかというと、まず質の良いものが次のシーズンの播種用に取り分けられます。残った種も粉砕され家畜の飼料や肥料として再利用されています。綿花の種は油分を多く含むので海島綿の種から搾った綿実油というのも面白そうですね!

 

あとがき

私は結構忘れっぽい性格で自虐的に「鶏頭」と称するほどです。これはマズイとメモを取るのですがどこに書いたかを忘れる始末。落ち着いて自己分析すると、どうも私はマルチタスクが苦手なようで、何かをしている最中に別のことを頼まれると少なからぬ確率で当初やっていたことを忘れてしまいます。

何でこんなことを書いているかといいますと、この第16号は本来7月9日にアップするはずだったのです。本日は8月2日。

第17号の準備をするのに前号を見直そうと思ったら、「あれ?無いぞ」。

思い返すとあの日は本文を用意した後、夕方にあとがきを追記してからアップしようと一旦中断したのでした。

というわけで、変則的なアップデートとなり申し訳ございません。

決まった場所にTo Doリストを置くなど対策しなければ。。。

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