2024.11.21
ラスクルーセス(もしくはメシージャ)の街
アメリカン・シーアイランドコットンの元となるシーアイランド品種の開発に関わった大学は、畑の北方へ車で1時間弱走った距離に位置するラスクルーセスという町にあります。今回はこの町についてご紹介します。
ニューメキシコ州で第二の都市であるラスクルーセスは、地理的にはテキサス州のエルパソ市と同じく、リオグランデ川を中心とする南北に延びる谷に位置します。
シーアイランドコットンの畑があるエルパソ市はスペイン語で「通り道」という意味があり、北方へ通じるこの谷をかつてキリスト教のミッションや資源を探索する人々が行きかっていたことから名づけられたそうです。
一方でラスクルーセスは同じくスペイン語で「十字架(複数形)」という意味を持ちますが、なぜこのように名付けられたのかは定説が無いようです。街の郊外にあったというこの地で亡くなった宣教師や旅人を弔う十字架が由来という説が有力です。
ニューメキシコ州は元はといえばメキシコ領で、19世紀半ばのメキシコとの戦争の結果として、現在のカリフォルニア州やネヴァダ州などと一緒にアメリカ合衆国の所属となりました。国土の3分の1を失ったこの出来事は今でもメキシコ人の心のトラウマになっています。
ちなみにテキサスも前後してアメリカ合衆国に編入されていますが、一旦メキシコから離れて独立国になるというプロセスを経ています。テキサスの愛称Lone Starはこの時の「国旗」にあしらわれていた一つ星から来ています。その由来の通り独立心の強い州というイメージです。
移譲当時はもちろん、アメリカの領土となってからも流入するメキシコ人移民の影響で、現代のラスクルーセスの街中はメキシコの雰囲気が色濃く出ています。TexMexより本場に寄せた美味しいメキシコ料理屋さんも多数あります。
今回は飛行機の時間が迫っていたため、お気に入りのLa Postaでの昼食はかないませんでしたので、前日に畑近くで食べたエンチラーダの写真を代わりに載せます。「写真はイメージです」って感じです。エンチラーダというと赤ソースか緑ソースが定番ですが、ここにはチョコレートを使用したモレソースがありましたので迷わずチョイス。大変美味しゅうございました。
そんなラスクルーセスの中でも、一方変わった街並みなのが郊外にあるメシージャ(Mesilla)という地区で、正確には人口2,000人余りの独立した町です。
街並みはアドベといわれる日干しレンガを使用して建築された建物が多く、その独特な街の風景を生み出しています。色とりどりの壁の色が深い青色の空とマッチしていますね。
なお、現在のほのぼのとした景観とはうらはらに、メシージャの歴史を調べてみると血塗られたというと大げさかもしれませんが、暴力沙汰のオンパレードで驚かされます。19世紀のWild Westはどこもこんな感じなのかもしれません。
中でもひときわ知られている人物はビリーザキッドでしょうか。日本でもステーキ屋さんの名前になるほど有名で、西部劇など見ていると義賊みたいなイメージですが、史実を見る限りでは人は殺すわ、牛は盗むわで純然たる悪人。
彼は保安官パット・ギャレットに捕まった後にこのメシージャで裁かれ、絞首刑の判決を受けますが、看守を殺害し牢屋から脱走。最終的にはギャレットに撃ち殺されてしまいます。。。
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