シーアイランドクラブ

2022.06.23

沖縄にシーアイランドコットンがやってきた!

この春、弊社は㈱フードリボンさんとの共同事業として、沖縄本島北部のいわゆる「やんばる地域」においてシーアイランドコットンの栽培を試みています。

フードリボンさんは、農作物の加工過程で発生する非可食部分、つまり通常捨てられてしまうシークワーサーの搾りかすやパイナップルの葉っぱ等を利用して作られる生分解性樹脂や繊維などを製品化する沖縄の企業です。そのフードリボンさんの知見を注ぎ込み計画される『住民参加型農村開発プロジェクト』に弊社が賛同するかたちで始まった沖縄のシーアイランドコットン栽培の試み。カリブの気候でしか育たないといわれてきたシーアイランドコットンを、100年ぶりにアメリカで復活させてから5年。いよいよ日本におけるチャレンジの始まりです。

今回プレスリリースに合わせて私たちも綿木の様子を見に沖縄へ行ってまいりました。

那覇空港に降り立った私たちは夏休み前だというのにやたらと多い観光客に混じり、レンタカーを借りて沖縄本島北部へと向かいました。沖縄はちょうど梅雨の最後の時期で、空はどんよりと曇り、沖縄初体験と楽しみにしていた私はちょっと残念な気分で車を走らせます。

この北部やんばる地域は、奄美大島など他の数島と一緒に昨年ユネスコの世界遺産に登録されたばかり。手つかずの自然が多く残り、車も少ないのどかな雰囲気です。山の植生なども日本よりもフィリピンに近いような、南国にやって来た感が満載でした。それにしても惜しむらくはこの天気。

今年のメインとなる試験栽培地域は東村(ひがしそん)で、報道関係者を招いてのお披露目の場となる畑に私たちも向かいました。畑は小高い山を上り下りした先にあり、そうこうするうちに雨が降ってくる始末。

予定時刻より少し早めに辿り着いた畑にはフードリボンさんのスタッフの方がいて準備をされていました。そして肝心のシーアイランドコットンはというと、、、ありました。

まだポットから移植されて間もないタイミング。赤い土壌に植わっているシーアイランドコットンと言うのも珍しい光景です。後で調べると、この周辺の土壌は「国頭(くにがみ)マージ」と呼ばれ強酸性だそうです。アルカリ性を好むシーアイランドコットンにはちょっと厳しい環境かもしれません。カリブやアメリカより成長期間は長くなりそうです。

はるばるカリブからやってきた種にとっては早速の試練ですが、500年の歴史を生き延びてきたシーアイランドコットンはそれくらいでへこたれるものではありません。私たちが直接関わったベリーズでの栽培も安定化するのに10年近くかかりましたので、沖縄での栽培トライアルも年月がかかる覚悟でおります。

今後の心配は台風です。畑の場所はただでさえ風通しの良い場所ですので、台風が来ればコットンのつぼみが落ちてしまうのでは?こればかりは実際に台風シーズンを経過してみないと分かりません。

さて、畑を見に来てくださった地元の新聞社の方々へのご説明も終わり、今度はこの栽培プロジェクトの管理をしてくださっている稲福さんのお宅がある大宜味(おおぎみ)村へと皆で向かいました。

雨がだんだんと強まる中、稲福邸ではご馳走を用意して待っていてくださいました。庭では何とバーベキューまで。南米はアルゼンチンスタイルだそうです。雨が掛からないように焼き手の方は傘を掲げていましたが。。。でかい肉の塊にチョリソーとサルサ。美味しくいただきました。

稲福さんから手招きされ近寄って行った私、彼が指さす先を見ると、こちらでもシーアイランドコットンが栽培されていました。鉢植えのシーアイランドコットンは畑よりも成長が進んでいます。彼はこの鉢植えを昼間は外に出して日光を浴びせ、風の強い夜には家の中に避難させるといったように大事に大事に育ててくれています。

稲福さんに畑の今後の見通しを聞くと、これからはイノシシが出てくるので気を付けなければならないとのこと。その瞬間、私の脳裏にコットンボールを食べる猿のせいで栽培をあきらめたカリブの島国ネービスの記憶が蘇りました。イノシシとなるとボールどころかまるまる綿樹ごと食べられてしまうようなイメージ。これは要注意です。

現地に来るまでは不確定要素は台風くらいかな?などと考えていましたが、思ったよりも越えなければならないハードルの数は多そうです。ただ、私たち自身、カリブ以外ではシーアイランドコットンの栽培は出来ないものとずっと思ってきました。アメリカン・シーアイランドコットンの復活も、地元大学との長期の研究の末に達成されました。それを考えると、沖縄の栽培も容易に成功すると考える方がおかしい。そう、おかしいのです!

冒頭少し触れました、近い将来この地で始まる住民参加型プロジェクトの農園では、パイナップルやアボカド、バニラビーンズに混じりシーアイランドコットンが育てられ、観光客の方たちには収穫体験や糸紡ぎのワークショップに参加してもらう。これまで遠く離れた異国の土地で栽培されてきたシーアイランドコットンをもっと身近に感じてもらえる機会。このような光景が目に浮かびます。今後紆余曲折はあるでしょうが、このようなビジョンが見えている限り、実現へ向けてコトは進んでいくでしょう。

と思ったのもつかの間、那覇への帰り道でワイパーも役に立たないような豪雨に見舞われて不埒にも「あ、これは全滅かな」と思ってしまいましたが、のちほどフードリボンの方に聞いてみると「あの程度の雨はしょっちゅうなので大丈夫です!」とのことで一安心。

今後の成長はいかに。

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